The Lion's In Town / Willie"The Lion"Smith
(P, Vo) Willie "The Lion" Smith, (Ds) Wallace Bishop
1949年, 1950年, 1959年録音
Vogue American jazz in Paris
痛快で豪快で愉快でもうなんというのでしょうか、神様というよりは王様という感じの表現がぴったりの素晴らしいアルバム。
半分はピアノソロあとはドラムと2人での演奏ですが、圧巻はなんといっても1曲目の23分強に及ぶ回想形式で語りを入れながら弾くソロピアノ12曲。
「俺が10歳くらいの時、こんなのが流行っててよお、ラグタイムっつんだけどよ・・・」なんて多分言いながら次々と曲を繰り出すライオン様、結構ミスとかあるしなんというかムラッけがある演奏なんだけれども、もうそんなことを気にする輩ははなから蹴り飛ばすようなグルーブ感と強烈なピアノのタッチ、あごがはずれそうになるほどの大迫力かつめくるめく素晴らしい演奏です。
Don EwellとのピアノDUOのレコードも持っているんですが、これがまたEwellの緻密で華麗なピアノとどう絡むのかなあって期待して聴いたのですが、王様はそんなことは我関せずで、相変わらずの圧倒的なグルーブ感で完全にノックアウトしておりました。どんなに粋なことをEwellがやっても、王様は葉巻咥えていたかどうかはわかりませんが、そんな感じでへッ!!てなもんでもうすごいのなんの。
アリさんが一生懸命汗水たらして作った巣(Ewellのプレイ)を、イノシシの気まぐれの突進(王様のプレイ)であっという間にめちゃくちゃにされちゃっているようなまるでそんな有様でしたよ。
伝わるかなあこんな表現で。これじゃあちょっと馬鹿みたいですか?
でも彼が「アウッアウっ」て唸りながらがんがんスウィングしていく様子は、ちょっと笑っちゃうぐらいそんな感じなんですよ。あれーッっ殿、お戯れを!!てな蹂躙を葉巻咥えながら堂々とする彼のピアノの味を一度知ってしまったら、もう他のじゃあ我慢できないのアタシ・・・・・ていうピアノです。
なんだか誉めてんのか馬鹿にしてるんだかわからなくなってきておりますが、エリントンのアイドルプレーヤーだったという彼ですから、いたるところにハッとするプレイぶりもちりばめられています。そういえばエリントンのタッチって彼に似ているなあ。
LP2枚組のたしか5.60年代ソロライブ盤もあるのですがこれもすごいです。これはまたの機会に。
Go Power! / Illinois Jacquet
(Ts.Vo) Illinois Jacquet, (Org), Milt Buckner, (Ds) Alan Dawson
ライオネルハンプトン楽団出身の3人が、熱狂的なファンの前で行ったライブの模様を余すことなく伝えている熱い熱いアルバムです。
実は最近やられたわけではないのですが、もうかれこれ7.8年やれっぱなしで未だに聴いてて興奮します。僕の車にも常時積んであるのですが、これを聴くと時速30キロはスピードが上がります。
かのカウントベイシー御大がジャケーのことについてコメントを求められて、
「 THE END !!」 といったのもうなづけますねえ。
ミルトバックナーのオルガンもスタジオ録音でやっている時とはぜんぜんノリが違うんですよねえ。あれだけ熱いジャケーのサックスをさらに熱く煽って、もう4トントラック一杯分の唐辛子を火炎放射<器でぶちかましたような惨状です。いや、素晴らしいんですよ。
曲は18番Flying Home(ここではFlies Againというタイトルになっていますが)、サーチャールズトンプソンとの共作のRobbiin’s Nest
意外なところではハンコックのWater Melon Manなど、やっているのですが、これがもうどれをとってもエグさの極地。バラードはこってりいやらしく、それでいて情熱的感動的、はやいのはもうこれでもかこれでもか!!っていうぐらい人の体を市中引き回しにしてくれます。
いやはや説明しているだけで熱くなってきます。
腕組んでジャズを聴いている人には聴いてもらいたくない、人生を変えるほどの名盤だと思います。まいったなあもう。
Lester Young Trio
(Ts) L.Young, (P) Nat Cole, (Ds) Buddy Rich
1946年録音
正直いって神様達が集って演奏しているような、ただただため息しかでてこない至芸の限りが惜しみなく繰り広げられた演奏。
テナーとピアノとドラムというとても変わった編成ながら、全く足りないもののない、
充実したサウンドはマジックとしかいいようがない。
僕はピアノという楽器をやっているため、
しばしピアノとボーカルとかPとサックスとかそういう形で演奏することがあるのですが、
ベースレスの形態のときは、必ず一度はこのサウンドが頭をよぎります。
本当に憎らしい程のこの無駄のなさに
到達するまで何回死ねばいいのだろうか・・・・
わりとよくレコード屋で見かけるので、
もし聴いていない方は3度のメシを1度にしてでも買う価値あり。